最近、大学4年の学生さんには、お題を出して、次回、その説明をしてもらう、というのをやっています。
自分がたまたま観に行ったので、いくつかのお題の中に
Caravaggioを入れました。
今、カラヴァッジョ展が上野の西洋美術館で開かれています。
もう図録は重いので最近は買わないのですが、息子が行ったので、後で買ってきてもらいました。
今日は、その図録を見つつ、その絵について英語で話しました。
以前から、彼女と、日本語の「反省」にぴったりくる英語がないよね、と、話してました。
カラヴァッジョは、いわゆる粗暴な人で、暴力沙汰とか、名誉毀損とか、いろいろなことで記録が残っているのですが、最終的には人を殺して逃げて、その逃げた後にも絵を描きました。
それが
この法悦のマグダラのマリアと
エマオの晩餐です。
エマオの晩餐とは、wikipediaより:
*********
エマオ(Emmaus)は新約聖書のルカの福音書(24章13〜35節)に登場する地名であり、「温かい井戸」という意味がある。
エルサレムから11km離れたところにあり、クレオパともう一人の弟子が旅をしていたときに、復活したイエス・キリストが現れた町である。
イエスは復活後にエマオに途中の道で、クレオパに近づいて、彼らと語りながら歩いた。そして、食事の招待を受けて、感謝してパンを裂いた時にそれが、イエスだと分かったが、その時イエスは見えなくなった。
***********
https://ja.wikipedia.org/wiki/エマオ
これはカラヴァッジョ初期のエマオの晩餐。
光が左手から差しているのが良くわかります。人物を照らすのも光源からの直接の光です。画面も明るい。
これが人を殺した後。
こちらは、左手から明かりは入っていますが、室内は真っ暗です。人物を照らすのは、左手からのたぶん、月明かりと、テーブルからの反射光です。
月の明かりは、太陽の反射光、reflectionです。
そして、そのreflection の明かりが、さらに白いテーブルクロスに反射(reflect)して、登場人物たちを照らし出しています。
カラヴァッジョは、人を殺した後、このエマオの晩餐と、法悦のマグダラのマリアを描き、これらの絵を持って、世の中に戻ろうとしましたが、彼が船を降りたときに、これらの絵を積んだ船が出帆してしまい、彼は自分の反省であるとか、悔恨の気持ちを表す絵を紛失してしまいます。
先ほども書きましたが、生徒もわたしも、
「反省」という日本語にぴったりする英語ってないんじゃないの?と、思っていました。
「反省」を和英辞書で引くと、
regletは、悔恨。反省とはちょっと違う。
sorryは、申し訳なく思う、という感じです。
自分の中に向かって内省する気持ちにreflectionと出ているのですが、
映す、とか反射のイメージが強く、「反省」という言葉に繋がりませんでした。
でも、今日、この絵を見ながら、光源を探し、テーブルからのreflectionが大きな光源となっていることを話し合っている間に、
反省、内省 = reflection
そうか、reflectionか、と、彼女も私も、腑に落ちたのでした。
本当の天才は、時代を経て、こうしたことを教えてくれます。
一つの単語ですが、とてもfruitfulな時間でした。
今日の夕刊に載っていましたが、
フランスでまた新しい絵が見つかったみたいですね。
キテますね、カラヴァッジョ(^^)
**************
⭐️えいごのいずみへのお問い合わせはこちらからどうぞ。
お問合わせ・お申し込み – eigo-no-izumi ページ!
コメントを残す