会社に入ったとき、「オレ、本は全く読めないよ、マンガは読めるけど」と言う先輩が、おられました。
「!」
本が全く読めないというのは、どういうことか?
多分、実用書は読めるが、物語を楽しめないということか?
で、自分なりに考えてみて、出た結論をご当人に聞いてみました。
「あのー、それは、活字を脳内映像化できないってことでしょうか。」
「そうそう。」
失礼なことをいっても許してくれる良い方でした。
このとき気づいことが2つあります。
脳内映像化をする人と、しない人がいる、と、いうこと。
それから、私にとって「物語を読む」とは、文字から脳内で映像を立ち上げることだ、ということでした。カラー映像です。匂いも音もついています。
それまでは考えたこともありませんでした。
でも、自分だけで読んでいると、先を急ぎたくなってしまい、細部の映像化はさぼりがちです。
Life of Piの読書会をしているとき、自分だけで読んでいたときには、すっとばしていたボートの詳細について、みなさんとイメージを共有するために図を描きました。作品中には、寸法などが詳細に書かれているのです。
表紙絵のイメージと比べると、とても大きな救命ボートだったのが判りました。船の用語もすぐ忘れてしまうので、便宜的に先のとがった一般的なボートの絵も描いて、舳先、船尾などの用語も忘れたらこの紙を見るようにしていました。
Life of Piを最後まで読みきった参加者の方たちは、映画を観た後、原作を読んだ方たちでした。
映画を観た後だと、イメージを映画が補ってくれるという利点はあるでしょう。ただ、映画は2時間くらいの枠に物語をはめこむため、どうしても省略したり変える部分が出てきますから、読みながら、みなさん「映画ではここまでの内容は描いてない」と、よくおっしゃっていました。
今、高校生の息子が、Charlie and the Chocolate Factoryを読んでいるのですが、
「うーん、映画観ちゃったからさ、映画のイメージに引っ張られて、なんとなく読んだ気になっちゃうんだよね」と、言っていました。
私自身は、実は、原作を読んだ後で、その映画を観ながら、内心、密かにムカついていることがよくあります。わたしの創り上げた世界を破壊されるからです。
大人気(おとなげ)ないのです。
「原作と映画は、まったく別のもの、別作品。」と、自分によく言い聞かせるようにしています。
観た人たちの間では、とても評判が良いのですが、
Life of Piの映画、いまだに観ていません(苦笑)。
脳内映像化人間の快楽と孤独。
つづく
非常に興味深い記事を拝読しました。「脳内映像化する人、しない人」に加えて「どうしても出来ない人」もいて、私がそうなんです。目を開けようが閉じようが、生まれてこのかたイメージを想起出来たことがありません。眼を開けば眼前の現実のみがあり、目を閉じればただ闇が広がってます。小説はよく読みますが、イメージを想起できたことはただの一度もなく、例えば小説に「目の前に○○の面影が」「あのときの顔をはっきり思い浮かべる」といった表現があると「大袈裟だなぁ」と常々思っていました。他の人間も皆そうだと思っていたのですが、結婚後に妻と話をしていて自分とは異なることに気が付きました。妻はブログ主さんと同じようにイメージ想起できる人で「皆そうなんだから、当たり前」と思っていたそうです。世の中を見渡すと、私のようにイメージ想起能力がゼロな人は稀なようで、多少は想起できるのが普通のように考えています。とりとめのないコメで失礼しました。
ぞわぞわさん、コメントありがとうございます。
いただいた内容を周りの人と話したり、考えたりしていました。
理解するためによかったら質問をお許しいただきたいのですが、
例えば、目の前に木があって、それを目で見ます。
そして、目を閉じます。そのとき、一瞬前に見ていた木を思い描くことはおできになりますか?
こんにちは。 自分のイメージを実際に映像化することができるか調べていたところ偶然記事を目にしました。 僕は20代前半で小学生くらいの時に日本語で読書してましたが、今ではさっぱり。アニメ見たり、漫画読んだりする方が断然好きです。学生なので教科書を読みますがそこまで苦労する感じではないです。 僕の考えでは、「苦労のないもの(好きなもの)ほど普段の私生活からする、慣習になる」と思ってるので、自分がイメージ化する人なのかそうじゃないのか、微妙なところです。 イメージ化はできるけど、「イメージを取り入れる方が好き」なのでしょうか? 面白い記事でした。ありがとうございます。
Yoshiさん、すみません、ずいぶん前にコメントをいただいていたようですのに大量のメールに紛れて見過ごしていました。失礼いたしました。コメントありがとうございます。
わたしは、疲れてるとき、具合の悪いときは、漫画に逃げます(笑)文章を脳内で映像化するにはどうもエネルギーが必要なようです。