読書会でTo Kill a Mocking Birdを読んでいます。今週27日は2回目です。
先週の金曜日、2月19日に著者のHarper Leeが亡くなりました。
恥ずかしながら、わたしは日本語訳の『アラバマ物語』も未読だったのですが、
読書会のために両方読みました。
To Kill a Mockingbird (Harperperennial Modern Classics)
- 作者: Harper Lee
- 出版社/メーカー: Harper
- 発売日: 2014/07/08
- メディア: Kindle版
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美しい日本語訳です。
舞台は、アメリカ南部の1930年代。第二次世界大戦前というのが、こどもがヒトラーについて学校で語っているところから推察されます。
アラバマ州の田舎町で、弁護士を父に持つ兄妹の生活を中心に、当時の社会的なヒエラルキー、即ち、黒人、貧しい白人(南部には植民初期に貴族の子弟がつれてきた元農奴出身と思われる貧しい白人が存在していた)、貧しい農民、そして、また、そうしたことを背景に現金収入を得られない豊かとは言えない知識層、などの有り様が小学校に上がる少し前〜低学年の女の子の視点から語られていきます。
こどもからしてみれば「なぜ」と思われるような大人たちにとっての「当然」は、主に近所のおばさんたちであったり、実際の叔母の態度などから述べられていきます。
そうした社会背景の中で起こった黒人男性による白人女性の強姦事件の弁護を父親が担当することになります。
発表当時の1960年は、まだ黒人差別の激しかったころですから、この小説は、大きなインパクトがあったのでしょう。
実際、有名なモンゴメリー・バス・ボイコット事件(1955年)もアラバマのモンゴメリーで起こりました。(バスで黒人女性ローザ・パークスが白人に席を譲らなかったので逮捕された事件。)ここから公民権運動も広がりを見せはじめます。
有名なキング牧師の演説 ’I Have a Dream’と、ワシントン大行進は、1963年のことです。
ハーパー・リーの作品は、To Kill a Mockingbirdだけと思われていましたが、
去年の夏、Go Set a Watchmanが発見されました。
興味深いのは、これはTo Kill a Mockingbirdの女の子、スカウトが成長した後の話らしいのですが、こちらの方が先に書かれていたらしい、ということです。
こちらも読んでみようと思っています。
今、大学生、高校生に、以前紹介したHolesを読んでもらうと、黒人差別の歴史を全然知らないので、Holesの中で、黒人男性と白人女性が恋に落ちたことで、酷い目にあわされるのが理解できません。
- 作者: Louis Sachar
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- 発売日: 2000/05/09
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昔、とても感動した映画にミシシッピー・バーニングがありました。
KKKが、黒人だから、というだけで人を殺してしまうのを
FBIが捜査して解決していく、ちょっとFBIがカッコよすぎる映画でしたが、
20代前半の私は、衝撃を受けました。
KKKが発生したのは、もともとアメリカ南部が植民初期から抱えていた歴史的なヒエラルキーの問題があったからだと理解するのはもっと後年になってからです。
高校生以上なら、アラバマ物語や、ミシシッピーバーニングなどの映画を見せるのも必要かもしれません。
ハーパー・リー女史のご冥福をお祈りします。
今週、読書会では8章までをターゲットに読み進みます。
27日(土)朝9:00〜10:30
一回3,000円です。
8章まで読んでご参加ください。
ご興味のある方は、こちらからお問い合わせください。
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