もう、一昨日の夜ですね。
Kazuo Ishiguro氏、ノーベル賞、受賞されました。おめでとうございます!
今まで、生徒さんや、読書会のメンバーと読んできた作家で、特に、最近またThe Buried Giant を読んだところでしたので、とても嬉しいです!「やった!」って言っちゃいました(^^)
この作品は、記憶が大きなテーマになっていて、ある種の怖さも感じます。 わたしはRemains of the Dayは読んでいないのですが、The Buried Giantで扱われるのは、記憶の操作です。それから夫婦愛。でも舞台は魔法がまだ効果を持っていたローマが去った後のブリテン。未来のSFではありません。騎士が戦っている時代。アーサー王は死んでしまってますが、まだその威光が残っている頃。
愛している人はいますか?今、あなたは、その人を愛していると、思っている。でもあなたも、相手も過去の記憶が曖昧です。そしてその記憶は、ある操作によって曖昧にさせられている。その記憶が戻ったとしたら?もし相手があなたの思っているような人ではなかったとしたら?
そして、私たちが見ている社会が、何者かの記憶の操作の上に載っているものだとしたら?
こうした現代にも通じる深い問いが、物語の形で提示されます。
Never Let Me Goもそうなのですが、カタルシスはありません。スカッとしたりはしないのです(苦笑)。でも途中で、あれっ!やられた!というツイスト感はあります。
実は、一度も日本語版は読んでいないのですが、たぶん読まないと思います……。別に翻訳が良いとか悪いとか、そんな不遜なことを言う気はなく、せっかく英語で読んだので、自分の中で英語のままにしておきたいのです。
奥さんを”Princess”と呼び続けるAxlをジェントルマンだと思っていたのが、日本語にしたらなんとなく「あれ?」って思ってしまいそうで……。このあたり、翻訳者はご苦労されたのではないかと思いますが。そういう意味では読んでみたいかしら……。悩む。
こういうのも日本語を母語としつつ、距離のある英語をそのまま読んでみる醍醐味だと思います。
もしチャレンジするなら、The Buried GiantよりNever Let Me Goの方が読みやすいと思います。高校生でも読めます。SFです。時代設定は1970年代ですけど。
三角関係の話も入ってますが、人間が人間のために神の領域に踏み込んでいった社会。
こんどのアンドリュー先生の講座にもからみそうな内容ですが、テーマは、人間って何なのか、という問いだと思います。
- 作者: Kazuo Ishiguro
- 出版社/メーカー: Faber & Faber
- 発売日: 2011/12
- メディア: ペーパーバック
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読書の秋ですし、この機に英語版の読書にチャレンジするのも良いですね(^^)
わたしもThe Remains of the Day読もうかな……
11月19日(日)アンドリュー先生のワークショップ
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