ペーパーバックを読めるようになりたい

 

 

Harry Potter and the Sorcerer's Stone

Harry Potter and the Sorcerer’s Stone

 

 

30年ほど前に高校生だったころ、埼玉県内から都内の私立高校へ通っていたので、始発の駅から朝早い電車に乗りました。面白いもので、毎日同じ車両のだいたい同じ場所に同じ人が座るのです。

 

私の目の前に座る、メガネをかけたサラリーマンのたぶん50歳ちょっと前くらいのおじさんは、いつもNHKラジオの英語講座のテキストを持ち、耳にイヤホンを入れていました。そして、たまに分厚いペーパーバックも手に持っているのですが、いつも最初の数ページだけにチャレンジした後があり、その後ろの数百ページは、真新しいままでした。ときどき本は変わるのですが、本の状態はいつも同じでした。

 

今、若い人たちを教えていると、わたしが高校生だったころの日本人とは英語の実力が雲泥の差だと思うのですが、その一方で、こういうペーパーバック挫折人は、実はまだまだたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 

ああ、あの映画でみた原作を英語で読んでみたいなー、と、洋書を買う。

読み始めるのですが、よくわからなくて、途中でやめてしまう。私も何冊も、これをやってきましたので、よくわかります。 

 

買うときは、読めるような気がするのです。

 

私が英語を学び始めたのは、20歳からです。話すことは割に得意でしたが、読み書きがあまり得意ではありませんでした。英語をシームレスに読めるようになってきたのは、ここ最近のことです。

 

20代後半から職業翻訳や通訳もときどきしていましたし、そういえば、絶版になった絵本を趣味で訳すコミュニティのようなものもネットでやっていました。ですが、長編をどんどん読むようになったきっかけは、ハリーポッターシリーズかもしれません。1巻を日本語で読みましたが、2巻が、なかなか出ない。

 

「ん?でも、このくらいなら私にも英語で読めるんじゃないの?」と、思い、アマゾンで取り寄せてみました。

 

その頃は、もう電子辞書は使っていましたが、いちいち辞書を引いていると、ハリポタのスピード感が死んでしまうし、もっと先を読みたいし、育児はあるし、介護もあるし、仕事もあるし、読めるのは布団の中や出かけたときの電車の中なので、あまり辞書を引かずに推測しながら読むことが多くなりました。

 

ちょっとわからないところがあっても、どんどん読んでいきました。翻訳の仕事であれば、しっかり辞書をひきますが、仕事じゃないので、誰に迷惑をかけるわけでもない。それに訳さなくていいのです。脳内で映像化できれば良いし、多少ぼんやりしていても、かまいません。

 

つづく

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